「コンコン」と咳をしている私のおでこにそっと手を当てる。
「あぁ、熱があるのね・・・寒くないかい?袢纏を腰に掛け、急いで甘い葛湯を作って飲ませてくれた。
それから毛布を敷いて、足元には火傷をしないようにと古い布でグルグル巻かれた湯たんぽを入れ、ゴム製の氷枕と氷のうも用意した。
「さぁ、寝なさい。すぐに良くなるから・・・」と言って喉を見るなり、割りばしに脱脂綿を黒糸でくくりつけたお手製の綿棒に慣れた手つきで茶色のヨード液を染み込ませた。
再び、「あ~んと開けて」と言ったと思ったら、私が「オエッ」となって田舎者の母の治療は終わった。
翌朝、母がやってきて、またおでこに手を当てる。
「もう大丈夫だね!」と言って、梅干し入りのおかゆと甘いお番茶を作ってくれた。
これは私の子供の頃の光景だ。
近頃ではどこの家庭でも電子体温計で熱を測り、冷えピタやスポーツドリンク、ウィダーインゼリーなど手軽で便利なものが大活躍だ。私もそうしている。
しかしながら、「手当て」という言葉の通り、まずは触って確認し、「痛いの痛いの飛んでいけ~」と時には大袈裟にやってみるのもよいではないか。

                                    相老:O